燃える薪をくわえて床下へ逃げる狸
どんな伝承か
著者の郷里の野中家では、近所に棲む狸が昼日中に台所へ入り込み、焚き火で燃えている薪をくわえて床下へもぐり込むことが何度もあった。家の者が騒ぐのを面白がってやっていたらしく、騒がないよう慎むようになってからはぴたりとやんだという。著者はこの例を挙げて、狐の仕業には陰険さが含まれるのに対し、狸の人へのいたずらは徹頭徹尾茶目っ気の類だと述べている。
原典より
著者の郷里の野中氏では、近所に柄む狸が白書に臺所へ来て焚火して居る割だを咬へて床の下に這入りこんだことが何度もあつた。—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))
『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。