尾なし蛇を守り神とする犬山の鈴木家
どんな伝承か
愛知県犬山町の鈴木家は代々成瀬藩の侍医を務めた家柄で、中でも玄道は藩学敬道館の教師を兼ねた蘭学者だった。この家の守り神は尾のない蛇で、ふだんは姿を見せず、主人の代替わりの時だけ現れるという。ほかに座敷わらしもいて、家に変事がある前には家人に姿を見せた。四代目のト仙の代に家産が傾いたことがあり、ある日いかつい顔の山伏が来て食べ物を求めたが、家人でさえ満足に食べられない時だったので断ると、山伏は罵って帰った。心苦しく思い、残りの食べ物をかき集めて後を追ったところ、それから目に見えて家運が上向き、前にも増して豊かになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。