大みそかに首切れ馬で行く袖ガ滝の姫
どんな伝承か
昔、京都山科の公家が落ちぶれ、その姫がさすらった末に、那賀郡桑野村川口の北にある袖ガ滝という山に来て仮の住まいを構えた。ところがある年の大みそかの夜、四、五人の強盗が押し入り、姫や召使いを殺して逃げた。それから毎年大みそかの夜になると、屋敷の跡から怪しい火の行列が出るようになり、その中には左の片袖の大振袖を着た姫が首切れ馬に乗っている姿が見えた。行列は山を下りて新野村重友の袖が鼻の方へ向かうと言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河童・天狗・妖怪――民俗随筆(武田静澄・武田静澄・民俗随筆・1956年(昭和31年))
『河童・天狗・妖怪――民俗随筆』は、武田静澄が昭和三十一年に著した民俗随筆である。天狗と神かくし、河童、座敷わらし、山の神と山の妖怪、狐狸とつきもの、水辺や海の亡霊、死霊と御霊などをめぐる伝承を、『今昔物語』などの古典の説話と各地の民俗の事例から集めて語る。短い見出しを立てた小文を連ねる形をとり、神かくしにあう心理や幻覚、お化けの心理にも触れて、妖怪を信じる心のはたらきを考える。