石狩の名を生んだ大蛸と巨鳥の力比べ
どんな伝承か
海でいちばん力が強いのはラードシカムイ、尾のたくさんある神という蛸であり、陸の力持ちは片翼が七里もあるという巨鳥フリーであった。二者は互いに力を誇って反目していたが、ある日、石狩川でばったり出会う。蛸は口を尖らせて墨を吐き、満月のような目でにらみ、吸盤のついた八本の脚を構え、フリーも鋼を張ったような翼をひろげ、鉤形の嘴を突き出して身構えた。フリーの嘴が水上の脚を打って陸へ引き上げようとすると、蛸は脚を曲げて逆に引き込む。フリーが尾羽(イシ)を水中で左右に動かし(カリ)て踏みとどまったので大波が立ち、それからここをイシカリと呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。