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峠の崖から子の死を告げる声

所在地岩手県遠野市(笛吹峠)
年代四五年前
登場和野の菊池菊藏、絲蔵、菊蔵の子
出典定本柳田国男集 第4巻

どんな伝承か

和野の人菊池菊蔵の妻は、笛吹峠の向こうの橋野から来た者である。妻が親里へ行っている間に絲蔵という五六歳の男の子が病気になったので、昼過ぎから笛吹峠を越えて妻を迎えに行った。六角牛の峰続きで山路は樹深く、遠野分から栗橋分へ下ろうとするあたりは路がウトになって両側は崖である。日影が崖に隠れてあたりが薄暗くなった頃、後ろから菊蔵と呼ぶ者がある。振り返ると崖の上から下を覗く者がいて、顔は赭く眼が光っていた。お前の子はもう死んでいるぞという。恐ろしさより先にはっと思ったが、もう姿は見えなかった。急いで夜のうちに妻を伴って帰ると、果たして子は死んでいた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。

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