神木を伐った父の身代わりに死んだ子
どんな伝承か
昭和三九年頃、語り手の夫がマイアミという所の神の木を伐った。その頃、一三歳の息子が野球のボールをくるぶしに受け、跳ねたボールが下腹に当たって尿が出なくなった。骨髄の水が濁って心臓に回り危篤と告げられ、息子は寝たまま手を伸ばして何かをつかもうとした。近くの神に拝んでもらうと、父が神木を伐ったため木から落ちて即死するはずのところを、子が身代わりに罰を受けたのだ、自分の魂が金色の蝶になって出ていくのを捕まえようとしているのだと言われた。夫は落葉松二本を植え、法印に拝んでもらって詫びたが、息子は助からなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。