水をかけた築山の木が西本願寺の火を消す
どんな伝承か
私がまだ子供の頃に、八〇ばかりの隣のおじいさんが聞かせてくれた昔の話である。萩原の川手という家に、たいそうドウギョウな、つまり信仰の篤いおじいさんがいた。あるとき京都の西本願寺が焼けたと聞いて、その人は自分の家の築山にある大きな木に、桶で水をどんどんかけながら「やれ、西本願寺が焼ける。おおごとじゃ」と言ったそうな。すると西本願寺にはそれと同じ木があって、その木が水を噴き出して消火の手伝いをしたのだという。のちに西本願寺から、先の火災のときはよく手伝ってくれたと礼状が来たそうな。あちらも仏さん、こちらも仏さん、心が通じたのだということである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)