縁の下に十七年いた蟇の因果娘
どんな伝承か
安房国平郡竹原村の百姓利左衛門の家に生まれた娘は、顔がでこぼこで目が上方に付き、体は真っ黒に斑点があり、腹は真っ白で立つこともできない畸形児だった。世間の目を恥じた親は着物も着せず丸裸のまま縁の下に這わせ、時折飯を投げ与えるだけで育てたが、娘はそれでも死なず十七年もの間、蟇のような姿で生き延びた。やがて見世物師がこれを聞きつけて買いに来たことから世間に知れ渡り、新聞にも取り上げられたという。
原典より
その娘の顔は、デコボコで、眼はずっと上の方にあり、鼻も普通より上にあって、身体は真黒で班点があり、腹は真白で、立つことができないという畸形児であった。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。