主基斎田の鳥居に芽吹いた杉丸太
どんな伝承か
昭和の御大礼で黒酒白酒に用いる稲を奉る主基斎田に、早良郡脇山村の田が選ばれた。勅使を迎えて荘厳な抜穂の式を営もうという矢先、斎田の入口左側に立てた杉丸太の鳥居が、地上八尺のあたりから青々とした若芽を吹き出し、八分ほどに伸びてなお生長を続けた。土地では全くの奇蹟であり皇室国家の瑞祥はかぎりないと喜び、福岡県知事斎藤から宮内大臣一木あてに、主基斎田瑞祥の儀として三十日に電報が送られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。