経木を携え登るモリノ山の供養
どんな伝承か
新潟県や山形県には、モリと呼ばれる場所を聖地とみなす信仰がある。温海町の小岩川では、町はずれに立つ小高い山をモリノ山と呼び、その頂に御堂が建っている。七月十六日になると、人びとは亡くなった家族の戒名を経木に書き写して手に持ち、この御堂へ集まって先祖を供養した。これをモリ供養といった。対馬のシゲや壱岐のヤボサと並ぶ聖地信仰の一つだが、モリと名のつく場所が死者の霊と深く結びついていることを示す事例でもある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。