巫女の口を借りて訴える死者
どんな伝承か
森の山には付近の村々から、八月二十三日ごろにさまざまな供物を持って参詣に行く。これを森まいり、森供養という。森まいりに行く前には巫女を頼んで口寄せをしてもらう。口寄せとは、死者の霊を招いてその訴えを聞くことである。死者は巫女の口を借りて泉路の苦しみを訴え、自分は極楽の庭掃除番になっているが箒が壊れて困るから供えてほしいとか、雑巾掛けの役をしているから雑巾を納めてくれなどという。生者は言われるままに供物を整えて森の山へ参るのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。