玄関の雲壁に貼りつく男
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どんな伝承か
長蔵の父もまた長蔵といい、代々田尻家の奉公人として妻とともに仕えていた。若い頃、夜遊びに出てまだ宵のうちに帰り、門口から入ると前に人影が立っている。懐手をして筒袖の袖口を垂れ、顔は茫として見えない。妻おつねのもとへ通うヨバヒトかと思って近寄ると、裏へは逃げず玄関の方へ寄る。腹立たしくなってなお進むと、後ずさりしたまま三寸ばかり開いた戸から中へ入った。手を差し入れて探ると障子は正しく閉まっている。恐ろしくなって見上げると、その男が玄関の雲壁にひたと付いて自分を見下ろし、首は垂れて頭に触れそうで、眼の球は尺余も抜け出ているように思われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。
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遠野市の伝承
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