日独開戦を前に大阪上空を飛んだ紅い流星
どんな伝承か
大正三年八月四日の夜八時五十七分、大阪市の上空に光を放つ一大流星が現れた。天琴星の最南端から北々西へ向かって飛び、数秒ほど雲に隠れたのちに再び姿を見せ、地平線近くまで飛んで消えた。大きさは電灯ほどで、ルビーのように紅く輝き、朱房のような長い尾を引いていたという。折しも欧州大戦のさなか、日独開戦の間際であったことから、この大流星の出現は動乱の前兆ではないかと世間で噂された。
原典より
その大きさは、普通の電灯ぐらいで、ルビーの如く燦爛たる紅色を呈し、朱房のような美しい長い尾をひいていた。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。