王子と呼ばれた出羽羽黒の蜂子皇子
どんな伝承か
柳田国男は、近世までの俗語では王と天子という二つの名詞に大小の差はなく、王子といってもやはり至って貴い御方を意味し、これを君と神とにのみ限って用いたと述べる。天王と呼べば陛下と解されて記録との矛盾を指摘され、すげなく否認される場合が多いのに対し、王または王子と呼んでいるといつまでも許容され、皇統譜に記入が漏れたのかもしれぬということになる。但馬・越前でいう表米親王、丹後海岸での金碗皇子、摂津勝尾寺の開成皇子、そして出羽の羽黒の蜂子皇子などが、有名な例として挙げられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。